コロナによる経済の動き、まとめ
新型コロナウイルスの蔓延に関連して世界中でお金が大きく動いており大事なニュースが多すぎて把握できなくなっているのでニュースをいくつかまとめてみました。2020年3月の出来事です。
目次
1.ドル円は112円→101円→111円と下落からの上昇で推移
画像はドル/円、日足です。
2月から108円ー110円のレンジで動いていたドル/円は、2月20日夜に112.21円を付けたあと下落し、3月9日に101.23円まで落ちました。下落幅は10.98円でした。
3月9日までは有事の円買いと考えられましたが、その後ドル全面高となり3月23日現在で110円台で推移しています。有事は終わっていないのに有事の円買いが終わってしまったことで、これまでの常識は通じないと考える向きもあるようです。
2019年10月ー12月期の国内総生産(GDP)が下落したことも影響した可能性があります。
しかし「有事の円買い」はあまり歴史はないようです。
2006年頃は「有事のドル買い」でありました。
2007年米国同時テロ+2008年秋のリーマンショックで米国市場の信頼が揺らいだことで円高に振れたことから「有事の円買い」という言葉ができたようです。しかしファンダメンタルズからすればそれはアメリカの悪材料が重なりドルから資産が動いたということ。「有事」だから「円買い」したのではなく、アメリカに悪材料が重なったから円買いが加速したと捉える方が良い気がします。
今回は円高が進んだ2月20日から3月9日の間は「有事の円買い」でしたが、3月9日から3月20日は「有事の円買いの終焉」という記事が目につきます。相場の格言といわれる有事の円買いですが、歴史も浅く根拠も薄いことから「相場は相場に聞け」という格言に飲み込まれるのではないかと思います。ごくり。
2.豪ドル大暴落、ポンド大暴落
画像は豪ドル/円、日足です。
下げ一辺倒ですね。ここまで下げたのは過去に3回あるようです。
・1995年 阪神淡路大震災 58.83円
・2000年 アジア経済危機 55.54円
・2008年 リーマンショック 54.95円
いずれもその後数年かけて100円くらいまで戻していますね。歴史は繰り返している。この度のコロナショックでは最安値は3月19日の59.88円です。まだ下げるのか。底打ちしてまた100円を目指すのか。wkwk。
画像はポンド/円、日足です。
2月21日の144.96円を高値として下げ一辺倒ですね。3月18日の124.04円を安値として少し戻しています。「下げ渋り」の観がありますね。
ポンド/ドル相場は3月19日に1.1452ドルとなりこれは1895年3月以来35年ぶりの安値であったようです。
これらの相場の動きは金融市場の混乱で投資家が運用資産を売って現金化する動きも一つの理由のようです。
3.日経平均連日の下落
コロナウイルスにより武漢が閉鎖されており、日本への波及も懸念されていた2月2日に中国が18兆7,000億円の経済支援策による金融市場操作を行う発表を出したとき日経平均は1,000円くらい上がりましたが、その後下げまくっています。
6,000円くらい下げていますね。多くのお金が金融市場から消失しました。
4.原油一時20ドル割れ、18年ぶり安値
上画像ははドル/原油相場、日足です。
3月20日に一時20ドルを下回り、これは2002年2月以来18年ぶりでした。こう書くとプロ野球の記録のようですね。めでたいのかどうかは立場によるでしょうが。1週間の下落率では1991年の湾岸戦争以来の大幅な値下げとなりました。
経済の血液である原油の下落は、原油の需要崩壊を示唆しており経済の失速の指標と捉えられる向きもあるようです。もう一つは原油の供給過剰もあるようです。現在世界の石油の5%が余剰となっているようです。中東産油国とアメリカのシェールオイルが余ってきており、1-3月で約350万バレルの原油が供給過剰となっているようです。需要が下がる中供給がだぶついて価格が下がるとは、普遍的な出来事ですね。
トランプ政権は原油価格の安定化に向けて、サウジアラビアへエネルギー省高官を派遣する予定のようです。産出は計画できますから、今後アメリカや中東で産油の制限がうまくいくと原油価格も安定するのでしょうか。底値で買いまくれれば石油王になれますね。
5.米ボーイング社配当を停止
3月20日に米ボーイング社は株式配当を当面停止することを発表しました。CEOの報酬も見送っています。
米ボーイング社は民間航空機部門、軍需部門の2部門からなる世界最大の航空・宇宙機器開発製造会社です。
画像はボーイング社の2016年からの株価推移と2月後半から約1か月の株価推移です。
2020年2月になってからの下げが常軌を逸していますね。2018年10月に737MAX8がインドネシアで墜落、2019年3月に737MAX8がエチオピアで墜落したことがあり株価を下げましたがその比ではないくらいこの1か月で下げていますね。2020年1月には737MAX8の運航停止に約2兆円の費用がかかる見通しであることを発表していました。トランプ大統領は3月17日に「ボーイングを助けなければならない」とコメントしていますが株価には反映されていないですね。JALのように国営化されるのでしょうか。
どちらかというとリーマンショックでGMが国営化されたときに似てくるのかもしれません。
6.ソフトバンク4.5兆円の資産売却
ソフトバンクグループは3月23日、自己株取得と負債削減のために最大4兆5,000億円の資産売却および資金化を行うことを発表しました。
株価は少し戻していますね。発表後はストップ高となり前日から500円上昇して3,187円となりました。日足2日分で大陰線と大陽線が出ていますね。大陰線+大陽線の出現はどちらに転ぶかわからない状態とされます。ソフトバンクグループの収益状況やコロナウイルスを巡る明るい兆しが出たわけでもないので、下げトレンドが継続するのか。
様子見ですね。
7.トランプ政権「1兆ドルの経済政策」を2兆ドルへ倍増
3月17日にトランプ政権は経済対策として、国民への現金給付を含め約1兆ドルの経済政策を議会に提案しました。中には国民1人1,000ドルの給付を求める内容もあるようです。3月21日には経済対策を最大2兆ドル(約220兆円)の規模とすると表明しています。
2008年秋のリーマンショック時の経済対策は7,000億ドル(約77兆円)でしたので大幅な増額を決断しています。
中小企業支援にあてられる3,000億ドル(約33兆円)は雇用と給与の支給を維持すれば返済を不要にする制度が含まれるようです。現状維持すればまるっと貰えるとはすごい。
個人に充てられる経済支援は大人で最大1,200ドル(約13万円)、子供で最大500ドル(5万5,000円)の現金給付を行うというものです。お金貰えちゃうのはすごい。
8.東京オリンピック延期検討
3月22日に国際オリンピック委員会(IOC)は大会延期を含めた検討を始め、4週間以内に結論を出すと発表しました。
中止は検討課題に含まれていないと発表されています。
現在カナダオリンピック委員会(COC)とパラリンピック委員会(CPC)は2020年に東京オリンピックを開催するならば選手団を派遣しない方針を発表し、東京大会の1年延期を求めています。
延期の場合購入済みのチケットの払い戻しはされないようです。購入時の規約に書かれている「公衆衛生に関わる緊急事態」に当てはまり、このため「義務を履行」できなくても「不履行について責任を負いません」ということのようです。延期の場合はどうなるかわかりませんが、東京マラソン2020は参加費の返金はしないが翌年の参加が可能となっているようです。
3月19日に関西大学宮本勝浩名誉教授らは2020年東京オリンピック・パラリンピックが延期となった場合約6,408億円、中止となった場合約4兆5,151億円の経済損失が推測されるとの分析結果を公開しました。また、観光客の減少や国民の消費減を考慮するとマイナスの影響はさらに拡大すると見込まれています。
9.日銀ETF購入目標額を12兆円へ
3月2日に黒田総裁は「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保につとめていく」とコメントしました。
米連邦理事会(FRB)が15日に3月で2回目の緊急利下げに踏み切ったことを受け、18日か19日に予定していた会合を前倒しにしました。
3月16日に前倒しで金融政策決定会合を開き、年間6兆円であったETF(上場投資信託)の購入目標額を12兆円に倍増していました。また、年間900億円としていた不動産投資信託(REIT)の購入目標を1,800億円に倍増しています。
日銀は3月17日1,216億円、3月19日2,016億円、3月23日2,016億円のETFを買い入れたことを発表しています。
日本銀行のHPより確認できます。
今後も同水準の買いが継続すると見込まれています。
黒田総裁は日本銀行保有ETFの含み損は2兆円から3兆円あるとし、保有ETFの損益分岐点は19,500円程度の可能性を示唆しています。
10.不動産REIT大崩壊、ストップ安続出
3月13日に東証REIT指数先物は急落のためサーキットブレーカーを発動し売買を中断しました。
その時のチャートがこれです。
東京オリンピックの開催と関連し、東京・晴海の選手村のマンションが2022年以降に分譲される予定のところ、延期となると
・開発資金の回収の遅れ
・業績の下押し
につながると懸念されています。3月13日時点で大幅に下落したことでPBR(株価純資産倍率)が「割安」と見られていましたが、3月23日現在さらに値を下げています。
一般的に不動産価格は景気に半年から1年遅れて動くとされていますが、どうなることか。
11.世界の超富裕層が株式爆買い
3月20日付のBloombergで、世界の超富裕層が株式を買っていることを記事にしています。
カール・アイカーン、ウォーレン・バフェット、テトララバルの資産相続人らが合計10億ドル(約1,100億円)以上を株式の購入に使ったようです。
一部の人々は株式が急速に反発するとみているようです。「一生に一度あるかどうかの大バーゲン」と捉える人もいるようです。
今後新型コロナウイルスが終息するのであれば買いたいと誰しもが思うと思いますが、タイミングですね。資産家は3月20日頃から買いを入れているようです。資産家の方々には庶民では計り知れない情報がきているでしょうから、動向を追うことは必要です。その動向は株式市場の「買い」に動き始めました。今後4月が終わるまでにどうなるのか、未来が気になります。
おわり。